山本光学の今後のビジネスにおいて、キーとしているのが「ニッチな分野でのNo.1」です。
特に、海外の巨大な世界市場の中でやみくもに展開を行ってはブランドのファン醸成はなかなか叶わないため、優位性のある場所・ジャンル・製品を見極めた市場開拓を行う必要があります。
今回は、オープンウォータースイム*¹(以下OWS)分野の新たな市場開拓を始めた担当者の体験談をお伝えします。
*¹ オープンウォータースイム:海・川・湖といった⾃然の⽔の中で行われる⻑距離の⽔泳競技
スポーツ事業部でSWANSブランドの海外セールスを担当しています。
SWANSでは国や地域ごとに現地の販売パートナーと契約する形で製品の販売網を作っているので、販売パートナーへの情報提供や製品の手配を行うのがわたしの主な業務になります。
基本は日本からメールやWEB会議を通してやり取りを行いますが、年に数回は海外出張を行い、現地で直接お会いする形で販売促進の支援や商談なども行っています。
ハワイには既存の販売網がなかったのですが、現地で行われるOWS大会の主催者の方からコンタクトをいただいたのがきっかけでした。
この方はご⾃身もOWSやトライアスロン競技を楽しまれており、日本のイベントを通じてSWANSを知りファンになっていただいたそうで、運営する大会を通じてハワイでSWANSを広めたいという熱い思いを持って連絡を下さいました。
数ヵ月に渡ってお話を伺い、サポート選手を通じて現地の情報収集を行った上で、わたし⾃身ハワイへの進出に可能性を感じるようになりました。 そこで、ユーザーコミュニケーションとマーケットリサーチを図る企画として、現地大会への協賛とブース出展を行うことを社内で上申しました。 ぜひ行ってこい!と力強い後押しをいただいたものの、現地での反応は全く想像できません。「反応が無かったらどうしようか…」。行きの飛行機では不安に駆られていました。
到着した現地では、改めてブランド認知度の低さを目の当たりにします。ブースに訪れるほぼすべての方にとって、「SWANS って何?」からのスタートです。しかし、製品を手に取っていただきご説明すると、「すごく視界がクリア!」「とてもきれいに見える!」といった驚きの声が多く上がります。
日本では視界の広さや⽔の抵抗の低さが評価されることが多かったのですが、「きれいに見える」という感想は珍しい反応でした。⻑年日本市場で製品を販売する中で、私たちが当たり前の品質であると思っていた「高い視認性」が、海外製品では珍しいということを知りました。
また、山本光学が100年を越える⻑寿企業であることに対する驚きの声も日本以上に多く、会社やブランドの歴史と品質をうまく伝えることができれば、認知度向上に大きく寄与すると感じました。
行きとは一転し、帰りの飛行機では「どんな風に情報を生かして作戦を立てよう?」とワクワク感に駆られていました。
きっかけをいただいたイベント主催者の方と
ハワイのような小さな市場では口コミの力が非常に強いので、ブランド認知度を高めるために「どのようにブランドを育てていくか」「どのようにコミュニティを作り上げてファンを増やしていけるか」の⻑期的な戦略を立てることが重要です。
強みを生かしてニッチな分野に特化することで、世界のブランドが行う競争の激しいマーケティングに勝負を挑むことは十分可能です。そのためにもターゲットとする国・地域やカテゴリの特性を把握し、継続して製品の魅力をお客様にお伝えしていくことが必須だと感じます。
今回の活動を通じて、お客様と直接コミュニケーションを取ることの大切さや、現地市場における課題を改めて認識することができました。
ハワイでの活動はまだまだ始まったばかり。これからが本番です!